前回の続き。
賃貸住宅にもインテリアコーディネーターの活躍は出来る
賃貸住宅の新築プロジェクトにICとして参画する。
私はこのチャンスに多数恵まれてきました。
小さなアパートから数億円の巨大マンションまで分譲ではなくあくまで賃貸住宅というカテゴリー建物にICとしてかかわる。それは自宅のコーディネーションとはまた少し切り口やスタンスが違ってくる仕事なのです。
自宅の場合は
「正解は住む人(施主)が持っている」
という前提があります。設計やICが反対してもお施主様がそうしたいと言えば
リビングの壁がディズニーキャラクターの壁クロスになることだってあります。住む人が喜ぶことが一番だからです。
話は脱線しますがショッキングピンク色のキッチンセットに赤いハートの模様が飛び散った壁クロスにした物件がありました。現場やクロス業者さんからは不評でした。私も内心嫌でした。(笑)
でも完成後の奥様のお喜びようといったらもう・・・・こちらがうれしくなるくらい。住む人ありき、なのが自宅です。当然のことですね。
でも賃貸の場合は誰が住むかわからない。価値観も好みも家族構成も未知数なところでコーディネートしなくてはいけない。
難しいです。
どうしても無難なシンプルな仕様になってしまう。シンプル、といえば聞こえはいいのですが ツマラナイ 内装になってしまいます。わああああって ときめく内装にはなりがたい。下手すると安っぽくなったりもします。
まあ、壁のクロスなんかは入居者が変わる度に張り替えるから一番安価なものでいい、と割り切るお施主様もいらっしゃいます。それはそうだな、と私も思ったりします。
一番悩むのはやはり水回り設備ですね。キッチンをIHコンロにするのかガスコンロにするのか。トイレに洗浄便座は当たり前か、他人の使った洗浄便座は嫌がって使わないという人もいるから不要か。
お風呂にTVついていると成約率高いとか洋服収納がウオークインクローゼット形式になっているとすぐ女性は決めるとかキッチンは対面式がどんなに狭くても好評とか。
出来上がった後、実際に借りようと思って下見にくる賃貸者の方と接する機会がない私は そういった不動産仲介業者のセールスマンの話を聞いて驚くことがあります。
基本は広さと間取りと家賃、がすべての決めての一番の優先事項であることは当たり前なのですが、やはりキッチンとお風呂が豪華だと家賃が高めでも決まりやすいのだとか。
逆にうんと広くて駅から近くても お風呂がひどくチープなユニットバスだと
残念・・・・という反応になってしまうのだそうです。
対して広くないワンルームのような間取りでもどこのホテルかと見まごう豪華なユニットバスを設置したことがあります。近隣より強気の高め家賃設定だったにも関わらず、即満室になったらしいです。
お風呂、こだわる人が多いんですね。
また、一人暮らしだから冷蔵庫は小さいだろうとスペースを小さくプランすると意外や意外、料理しないからこそ 冷蔵庫には冷凍食品やチンしてできる食品を沢山入れるので大きめがいいとか。
エンドユーザーさんの生の声を知らないといけませんね。そんな感じで賃貸住宅の仕事は本当に勉強になります。
でも基本は
「そこに住む人が快適でありますように」
という思いは全く同じ。それがICが大切にすべき一番大切なことですから。
賃貸住宅と言えども全く気が抜けない。
むしろ難しい仕事なのです。